日々の学び:大竹慎太郎『起業3年目までの教科書』

起業意欲があるわけではないが、起業関係の本はアナリストという「スモールビジネス」に意外と繋がる部分が多く、最近マイブームになっている。特にマネジメントや外注などの部分は遠いようで、かなり近い話に感じている。

キャッシュエンジン経営という言葉の下、ユニクロやライブドアといった企業の分析、ベンチャー/スタートアップ企業の生存戦略が述べられている。他の本には珍しく、採用の部分にまで言及されており、金言の山だった。全ては紹介できないので、一部を紹介。

キャッシュエンジン経営について。

日々のキャッシュフローを確保する地味かもしれないビジネスで原資を作りつつ、一発当てるビジネスに余剰資金を注入するという経営方法を提唱している。

キャッシュエンジン起業とは、キャッシュ(日銭)を確実に稼ぎ、事業を延々と継続するための原資となるエンジン(事業継続の原動力)をあらかじめ持って起業する経営手法のことである。
〜ライブドアが巨額の資金を投じて自社のブランディングを行うことができたのは、その裏であまりに地味な事業を淡々と続けていたからなのである。ライブドアは、企業のホームページ制作請負とホスティングから得た資金を貯めて、フジテレビの買収にまで乗り出したキャッシュエンジン型企業の典型例だったのである。

結局、盤石なキャッシュエンジン経営は、次の5つの柱から成り立つ。
1.キャッシュエンジン型事業力
2.ビジョン力
3.採用力
4.組織力
5.人との信頼関係を築く力

組織カルチャー自体を盤石なものにしていくためにも、キャッシュエンジン型事業を行うことでキャッシュ──キャッシュフロー──に余力を持ち、人とカルチャーを育てる物理的余裕を獲得することが必要なのである。

人を雇い入れていいのは、自分が仕事の時間の内の半分の時間、手を動かさずとも、事業を回していけるほどの金銭的・時間的余裕を確保できたら、ということになる。

人事と採用について。

上杉謙信とその覇を競い合った甲斐の戦国武将武田信玄が「人は城、人は石垣、人は堀」と喝破した通り、企業とは間違いなく「人」なくして存在しえないものだからである。
〜先に書いた通り、「人は城、人は石垣、人は堀」。企業は人こそがすべてだ。採用はコストなどでは決してない。将来への最も投資効率のいい「投資」に他ならないものである。 だから、何もしなくても優秀な人が勝手に来てくれるような状況にはないベンチャー企業の経営者は、インターン生の募集に血眼になるほどの気迫が必要である。

強固なカルチャーを生み出すには、そのカルチャーになじんでくれそうな人材を採用することがいの一番に必要である。これは「採用こそすべて」といえるほど重大なものなのである。
〜その経験からいえるのは、「優秀な人ではなく、一緒に働きたいと思う人を採用するべき」ということだ。これはすべての大前提になるのでよく覚えておいていただきたい事柄である。

新卒の採用媒体を用いないとしたら、どうやったらたくさんの人があなたの会社に面接を受けにきてくれるようになるだろうか?  トライフォートの場合は、「初期の時代は、自分の身の周りの人を血眼で探して」。それから、「インターンシップを最大限にまで活用する」だった。

適切な人をバスに乗せ、バスを力強く前進させ続けたければ、経営者であるあなたは、人の採用の時点からすでに、ここまでの努力を、絶対に積み重ねる必要があるのである。

仕事の期限・目標は部下自身に切らせ、自分自身で宣言までさせる

( 1)進捗報告は完成までに〝二度〟挟む
( 2)その進捗報告の一度目の時期は、完成予定までの約半分の時期に設定する。二度目の進捗報告は、完成予定日まで 8割の時間が経った時期にやってもらう

部下を育てていく局面での適切なマネジメントとは、部下が倒れない程度の適度に、負荷のある課題を出し、小さな成功体験を積み上げさせていくことで、部下に段階的に成功体験を積ませ続けること

人は往々にして、無関心ではないものの、自由に振る舞わせてくれる人に対して最も居心地のよさを感じる生き物なのである。

仕事は人生の大きな部分を占める。だから何かを達成したときには認めてあげよう。できる限り多くのチャンスを捉え、派手に祝ってあげよう。リーダーがしなければ、ほかに誰もする人はいない

インターンからの採用が重要という点が特に身に染みた。「誰とバスに乗るか」というテーマに対する一つの答えとも思う。また適度な負荷という言葉を聞いて、CULTIBASE RADIOというPodcast番組で過去に「少年漫画から学ぶ、経営リーダーの成長段階(2)孫悟空式リーダーシップの限界」という回があったことを思い出した。あくまで「適度な負荷」のコントロールが重要ということだろう。

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