日々の学び:ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』


本サイトでは”現役スポーツアナリスト”の「日々の学び」をブログとして残していきます。

歩道で、仕事場で、本屋で、バルコニーで、ベッドで、海で、文房具店で、彼の家で、駅で……。ローマと思しき町に暮らす45歳の独身女性、身になじんだ彼女の居場所とそれぞれの場所にちりばめられた彼女の孤独、その旅立ちの物語。大好評のエッセイ『べつの言葉で』につづく、イタリア語による初の長篇小説。

おそらくインド系と思われる中年女性がローマで暮らす様を淡々と描いた作品。インド系アメリカ人のジュンパ・ラヒリが全編イタリア語で書いたことも話題になったそう。

ジュンパ・ラヒリといえば『停電の夜に』です。

「移民」とか「マイノリティ」といった目線は少し減ったものの、相変わらずの文章のみずみずしさです。(もちろん訳者によるところもあるかもしれませんが)

本書では離れて暮らす母親との「愛情」についてや独り身で生きる女性の感性が特にみずみずしく描かれています。

不倫とわかっていても不倫をする様子、別れても全く後腐れない、むしろ爽やかな様子。内省的な主人公の心理を通じて描かれる景色が美しいです。

印象に残った言葉を一つ引用。

誰もこの季節の情け容赦ない日陰や自分の家族の陰から逃れることはできない。それでも私には優しく守ってくれる誰かの陰がないのが寂しい。

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