日々の学び:『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』

『問いのデザイン』の中で考えの多様性の一例として紹介されており、積んでから約一年が経った。『問いかけの作法』を読んだついでにせっかくなので拝読。段々と「ごちゃごちゃうるせえ!!」って気持ちにはなってくるが、「トリビアの泉」のようなどうでもいいことを本当に実証(論じる)スタンスは面白い。高校生向けの図書ということもあり、色々な学問の入門編の一部をさらっと紹介してくれるので、高校生に特におすすめかな。阪大生すごい。

個人的に面白かったパートは第六章「パラドックスに潜む人類の秘密」。そもそも「ドーナツの穴を残して食べる」というパラドックスを思いつくのは、人間が観念的な思考を可能としているが故なわけだが、人類の進化はなぜそれを可能にしたのかというお話。「累進的な文化進化」という言葉は初めて聞いたが、割と腑に落ちた。人間と動物の違いは、集団が集団学習の結果を忘れて蓄積知がリセットされない社会的仕組みにあるそうだ。

「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」とは、何て素敵で魅力的なパラドックスなのだろう。それは私たち現生人類の創造力の美しき産物の一つであり、あるいは、そこに私たち人類の未来の可能性が潜んでいるのかもしれない。

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