日々の学び:佐藤信夫 『レトリック認識』

CULTIBASE Radioの中で取り上げられていたのを聴き、気づけば購入してから1年が経っていた。プレゼンや資料もレトリックと言えばレトリックであるし、元々言語学には興味があるので拝読。

ともかく言語表現の《説得力》と《魅力》という二方向をめざしつつ伝統レトリックは、豊富と期待ーまたは幻想ーにもとづいて、現実に(ほかの諸技術に比べてみれば、一個の技術学の命脈として異例とも見える)長い伝統を受けついできたわけである。

多様なレトリックの学術的な紹介が続き、面白いが退屈な一冊だった。いくつか特に興味深い学術的説明があったので紹介。

対義性を両立させる両項は、けっして物流的な対称性にもとづくのではない。それに対する人間の関心の対称性にもとづくのである。〜私たちは、日本史と世界史の教科書がおなじ厚さでも異様だとは思わない。

なぜ、ことばの意味は、ほんのちょっとした信号や手がかりによって反転してしまうのであろうか。対義表現は意味が正反対だからこそよく似ている、という事実がその理由である。

暗示引用は、「元のものに親しんでいることが読者に要求される」。出典を明示しないほのめかしが通用するためには、元の材料が広く知られている必要がある。

なかなか実践は難しいが、対話の中のTipsとしては読んでよかった一冊だった。

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